HOME


■一夜庵について
一夜庵についてタイトル画像

一夜庵は享禄元年の創立でその後延宝九年、寛保三年、明治四十二年、大正十一年に修緒を加えたが、旧形をよく保ち、現存している屋根の形は方形に近い寄棟で、草屋根は民家の風格があり、松、桧と細竹とを交えて小麦藁を束ね、見える部分は葛で結び、見えぬ部分は棕欄縄(しゅろなわ)で結んである。

一夜庵の模型 内部の柱は丸型のネコヤナギの木を用いてあり、簡単な平面の床を板張と畳敷で区画し、その建て方はきわめて簡素で、宗鑑の風格をそのまま表現している。

六畳のまわり椽(たるき)がつき、三方に明り障子が入れられてある、大窓と床を設け、その傍らには棚がある、これは数寄屋式の形態をもつもので、好者の住宅として水墨的な気風がよく現われている、

隣りの四畳半の茶室には押入と念持仏薬師があり、鶴亀などの形とった燈台に灯を点じ、花瓶には花を挿し、香爐(こうろ)には香を薫じてある、天井はへギ板にして、横機は松皮付と竹を交互にあて、止めてある。

自然の美を活かして用うることに努力している、庵内の広さの如きも実用以上の面積を用いていない点に特徴があり、日本独得の静けさや寂しさや陀しさが表現されて宗鑑の俳味をおびた民家の建物である。


一夜庵の平面図


一夜庵保存会